みんな好きな時代ってある?
芥川龍之介、志賀直哉、江戸川乱歩、永井荷風、宮沢賢治...。名前を聞いただけでも高揚感を感じるような名前が並んでいる。ここに挙げた名前はいずれも大正を代表する文豪たちである。
大正といえば、僅か15年の、長さでいえば大変短い時代である。しかし、激動の15年であったことは言うまでもないだろう。藩閥政治を打ち破らんとする第一次護憲運動から始まり、政党政治の成立、第一次世界大戦、植民地の反日運動、関東大震災、普通選挙法など、挙げればキリが無いほど多くの出来事があった時代である。
文化的にも様々なことがあった。モダンガールやバンカラファッション、レコードの普及、和洋折衷の建築やラジオ放送など、明治時代に入ってきた西洋の文化や価値観を咀嚼し旧来のものと合わさった新たな文化が生まれた。
僕はこの大正という時代が好きである。新しいものが身近になり、生活に溶け込んでゆく時代。しかし豊かになってゆくと同時に、災害や戦争が暗い影を落としてゆく。和と洋が共存し、明るいもの(新たな文化や豊かになる生活)と暗いもの(軍靴の音、帝国主義、恐慌)が共存する時代。
今の時代からしたら生活水準が低いのは言うまでもない。しかし、人々の心は今以上に豊かだったに違いないと思う。今よりも自由が保障されぬ時代だからこそ、人々は自由を求め自由に憧れ、それを勝ち取らんと行動を起こした。災害、戦争、恐慌の中でも必死に生きようとした。
生命の危機から限りなく遠ざかり、経済的に豊かであるが故に働くことなく食べて行けてしまうようなこの国この時代の人間からすると、彼ら彼女らの生きた時代が羨ましくてしょうがない。そんな贅沢を言うなという批判は覚悟の上である。正直言って、非日常は羨ましい。
毎回毎回自分の文章力の無さには絶望させられる。まず、文章を書くまえに大体の仮組みを考えたらいいのだろうが、いささか面倒なのだ。